国際協力によるILC実現に向けた動きが大きく進展している中で、ILCを取り巻く国内外の動向等の現状への理解を深めるとともに、ILC日本誘致に向けた機運醸成を図る目的で、10月8日にILC講演会を開催しました。
今回は、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、初めてオンラインによる開催としたものです。
冒頭、協議会共同代表の大野英男東北大学総長から、ILCの誘致が、持続可能で豊かな未来社会へ向けた変革とイノベーションの先導、科学技術イノベーションによる地方創生、震災復興等につながる旨、挨拶しました。
その後、次の3名からお話していただきました。
○講演1 東北ILC事業推進センターの活動について
講師 東北ILC事業推進センター 鈴木 厚人 代表 (岩手県立大学学長)
8月に立ち上げた東北ILC事業推進センターにおける取組について紹介されました。国内外でILC実現に向けた動きが進む中で、関係する地方公共団体等の参加により、地域主導で取り組むべき課題検討や地域振興、広域的なまちづくりの進め方について、議論を深めていきたい旨を話されました。
鈴木 厚人 氏
○講演2 ILC最新動向~ILC国際推進チームの設置と今後の取組み~
講師 高エネルギー加速器研究機構 山内 正則 機構長
ILCの最新動向として、8月に発足したILC国際推進チームの概要、ILCをめぐる欧米の動向等を紹介されました。同チームの発足により、ILCの誘致建設に向けた工程が明確になったことが非常に大きな進展であること、今後は、整備の前段階として準備研究所の立ち上げに向け、「欧米の政府機関との意見交換」、「国際コミュニティによる研究者の議論」を通じて、国際的な協力体制を強化していくことへの意気込みを語られました。
山内 正則 氏
○講演3 ILCの科学的な意義を考える
講師 ILC国際推進チームワーキンググループ3(測定器及び物理) 村山 斉 部会長
(カリフォルニア大学バークレー校 教授)
宇宙の始まりや終わり、何でできているのか、さらにはなぜ我々が存在するのか等の答えを見つけるため、宇宙が誕生したビックバンの状況を見ることができる施設がILCであることを、喩えを用いて分かりやすく説明されました。さらに、暗黒物質やヒッグス粒子の性質を詳しく調べるには、CERNの加速器では限界があり、ILCが必要であることを熱く話されました。
村山 斉 氏
最後に、協議会共同代表の高橋宏明東北経済連合会名誉会長から、ILCが多方面で着実に前進していることを実感できた講演であり、引き続き会員の皆様のご支援、ご協力を得ながら、協議会としてILCの実現に向けて更に努力していくことを申し上げ、終了しました。