国際的な次世代加速器開発の推進や政府間の国際協議に向けた環境の醸成のための研究者コミュニティによる取組の現状について、講演会を開催しました。
はじめに、当協議会の冨永悌二 共同代表からの開会挨拶の後、ILCジャパンの石野雅也 代表から「ILCの学術的意義と実現に向けた現状と課題」と題して講演をいただきました。
石野氏からは、素粒子物理学の目標である宇宙の始まりについて、先端加速器を使ったヒッグス粒子の精密測定やヒッグス場の研究を行うことが新しい物理の扉を開くものとして、ヒッグスファクトリーの重要性が世界中に認識されており、ILC以外にFCC(欧州)やCEPC(中国)といった加速器建設の提案があること、また、グローバルプロジェクトとして、パートナー国と責任や費用分担のルール、推進組織の形や建設サイトの決定方法などのルールを決め、続いて具体的なILCの形について議論し決定していくという段取り(ステップ)についての説明がありました。
また、質疑応答では、日本がホストとなる場合の日本の研究者について、プロジェクトの中心的役割を果たすためのノウハウの有無や、日本へプロジェクトを誘致することの意義に関する質問があり、石野氏からは、これまでCERNの国際プロジェクト等で多くの日本の研究者が活躍してきたことを踏まえ、「自分達が創った舞台に世界中から研究者を迎え入れることは、他国の舞台での活躍とはまた違ったチャレンジングな取組ではあるが、できる準備が整ってきている。一番生産的な時期の若者が世界中から集まる場を創ることは、サイエンスの進歩や頭脳の循環など、様々な面で意義のあること。」との回答がありました。