海外で進行しつつある大型先端加速器計画の状況と世界の研究者のILCへの期待、日本に誘致する意義などについて、講演会を開催しました。
当協議会の増子次郎 共同代表からの開会挨拶の後、カリフォルニア大学バークレー校マックアダムス冠教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構教授の村山斉 氏から「ILCが拓く未来」と題してご講演をいただきました。
村山氏からは、これまで加速器により素粒子や宇宙の研究が世界各地で取り組まれてきたこと、また、これからヒッグス粒子をさらに探究する必要性について、ご自身が委員長を務める米国の素粒子物理学に関する諮問委員会「P5」が2023年12月に公表した報告書において、ヒッグス粒子を大量に作るヒッグス工場の実現を重要事項として位置づけ、米国はFCC(CERN)もしくはILCのいずれかの計画に参加協力し貢献すべき、と提言したことについての説明がありました。
また、日本は資源の少ない国であっても、元来、頭脳で世界と戦うのを得意としており、科学の研究においても未だ高レベルを保持していて、少子化が進む中、未来に向かうイノベーションを起こすもととなる基礎的な研究の重要性について理解を深め、また、日本政府がより前向きに基礎研究へ投資をすることが日本の科学研究の発展のために望まれる、とのお話がありました。
質疑応答では、ILC実現のための国際的な協力を日本が得るためにはどのような行動をとっていけばよいかという質問があり、村山氏からは、ILC日本誘致に向けた推進母体の明確化がポイントとなると思う、との回答がありました。